北海道応援メッセージ − 岡崎朋美さん
現役続行は自分自身への挑戦
2006/07/01
頑丈な骨は牛乳のおかげ!
●小さいころからスケート選手になりたかったんですか?
実家が酪農を営んでいて、親の背中や、家に来る獣医さんの仕事ぶりを見て、動物関係の仕事をしてみたいと漠然と思ったことはあります。そうなると獣医さんとか…。あこがれたことは認めますが、それには勉強しないとね…。で、スケートが好きだったので、いまに至ったわけです(笑)。
●酪農といえば、牛乳に関するさびしいニュースがありますが、どう感じていますか。
やはり残念です。私は小さいころから毎日、搾りたての牛乳を飲んでいて、骨太というか骨が頑丈になったようです。これまで大きなケガをしたことがなかったのは、牛乳のおかげだと思いますね。
そういえばいつも母が出してくれる牛乳は温かかった。おなかのことを考えて気を遣ってくれていたんです。親に感謝しなければなりませんね。みなさん、牛乳をたくさん飲んでくださいね。
●現役を続けるという意思表明をしましたが、次のオリンピックへの抱負を聞かせてください?
トリノ五輪が終わってから、自分では引退するといっていないのに、周囲から「引退しないで」という声がちらほら。年齢のことを気にかけてくれているのでしょうね(笑)。確かに4年後は38歳になりますが、自分としては気力も充実しているし、肉体的にもまだまだ未知数だと思っていますから、現役続行で、バンクーバーも視野に入れていると記者会見でも言いました。
スピードスケート界では、これまで誰も4年後の私の年齢でオリンピック出場した経験がない。だからこそ私がどこまでやれるか、それが楽しみなんですね。年齢よりは自分自身への挑戦というか、あまり気負わず一つ一つの目標をクリアしていくだけです。日本人ってちょっと年齢を気にしすぎかな〜なんて思ったりする今日このごろです(笑)。
●プレッシャーはありませんか?
よく自分自身にプレッシャーをかけるというスポーツ選手がいますが、私はあまりプレッシャーを感じないタイプなのです。きっと、小さいころからエリート選手として名前を知られているわけではなく、スケートが好きで、楽しんでいるうちに、今に至っているという感じが幸いしたんでしょうね。
だから、勝ちにこだわる気はあまりなくて、自分の能力をどこまで出せるかが自分への課題なんです。メダルはもちろんうれしいけど、それ以上に1つのレースで完ぺきに滑った方が自分としては納得のいくことですね。
練習を我慢するほうがつらい
●スケートは個人種目が多いと思うので、後輩との関係はどんな感じなんでしょう。ライバル意識を感じるときはありますか?
年下の選手と競い合うことで、自分の目標を高く設定したり、意識することでお互いに相乗効果が生まれるものだと思っています。
プロ野球選手でヤクルトの古田敦也さんが、監督兼選手になった。現役でありながら指導も采配できるんだな、と刺激になりましたね。
現役を続けることに決めたので、もちろん自分の調整がメーンではありますが、後輩から質問されれば、きちんと答えるようにしています。ただ、私が伝えようとしている意味を分からないままで納得されるのが一番困るんです。だから、「分かっていなさそうだなぁ」と思うとかみ砕いて分かりやすく説明する努力はします。
●4年後という大きな目標に向けて、どんなステップを踏んで練習、調整するのですか?
まず考えなければならないのは、今シーズンのことなんですよ。この夏、カナダのカルガリーへ遠征して調整するのですが、今年は、練習を毎日目一杯やらないで、体を休ませながら調整してみようかなと思っています。
でも、周囲の人が練習をしていると、ついついやりたくなってしまうんですね。頭で考えなくても自然に体が動いてしまうんです。だから練習をあまり辛いと思ったことはなく、練習を我慢するほうが辛かったりして…。気持ちのコントロールが難しそうですね。
●練習が楽しいなんて、ちょっと驚きですね。
練習の成果は自分の体で試せるわけですよね。それがどんな結果になり、どんな自分ができるのか、そのことに興味がわくから楽しいと感じるのかな。
毎日、同じ筋肉ばかりを使わず、バランスをみながら、メリハリを付けて練習する。この夏の調整具合によって、これからの自分が見えてくるって、楽しみじゃないですか。
引退後どうなるか、私自身が一番楽しみ
●海外遠征が多い岡崎さんですが、好きな国、街はありますか?
海外は、ドイツにしろ、オランダにしろ、その国特有の匂いがありますね。好きな国はいろいろありますが、なかでもドイツの街並みが気に入っています。
前回の五輪で訪れたイタリアもいいなあと感じました。海外遠征になると滞在が長くなるので、食べ物がおいしいことはうれしい。とくにイタリアは何だかいい意味でアバウトな感じがして、男性は口がうまいな〜と思いましたね(笑)。
●イタリア男性に興味がわいてきたということでしょうか?
海外では英語を中心にして会話をするのですが、イタリア語に興味を持ちました。さすがラテンの血というか、人だけでなく言葉もラテン系のテンション、ノリがあっていいな〜と思ったんです。その国の言葉や文化に触れたり見たりすることって、いろんな発見があるし、大事だと思いますから。イタリア男性が好きだと誤解しないでくださいね(笑)。
●車を自分で運転するのが趣味だと聞きましたが、やっぱりスピード感が好きなのでしょうか?
もともとじっとしているのが好きではなく、休みがあると出掛けたくなる性格。車は1人きりの空間を作ることができるし、変わる風景を見ながら運転するのが楽しい。車のような大きなものを自分の意思で動かせることに興味があって、それが好きなのかもしれません。
●意地悪な質問ですが、いつかは現役を引退しなければならないですよね。そのときはどんな活動をするかイメージしたことはありますか?
もしまだ人生のパートナーがいなかったら、仕事をしなくちゃいけない。スピードスケートはオールシーズンできるわけではないので、もっとメジャーなスポーツにするためには相当な施設整備も必要ですね。そして、スケート人口を増やすためには、子どものうちから育てる仕事というのもいいかもしれませんね。
でもまだ、その時の自分をイメージできないのが本音です。どんな風になっているのか、皆さん以上に私自身が一番楽しみですね。
おかざき・ともみ/1971年斜里郡清里町生まれ
小学3年生でスケートをはじめ、1990年、富士急に入社。1996年2月W杯ローズビル大会の500mで初優勝。1994年から4度冬季オリンピック出場。1998年、長野五輪500mで3位入賞、日本女子短距離陣初のメダリストに。椎間板ヘルニア手術を受け回復し、2002年ソルトレイク五輪500mでは当時の日本記録を樹立。トリノ五輪では選手団主将をつとめ4位入賞。新たな日本記録の更新と2010年五輪を目標に第一線で活躍中。