イベント

イベントリポート

「エルムの杜(もり)の宝もの」 海藻研究の奥深さ学ぶ

2018年1回目の北大総合博物館と道新ぶんぶんクラブ共催による「エルムの杜の宝もの~宮部金吾が築いた北大の海藻研究」が、5月26日(土)北大総合博物館「知の交流ホール」で開かれ、ぶんぶんクラブ会員42人が、130年以上に及ぶ北大の海藻研究の奥深さに触れました。

「エルムの杜の宝もの」シリーズは、北大が開学以来長年の研究で集積した数多くの貴重な資料である「北海道の知の宝」を、ぶんぶんクラブ会員の皆さんに知ってもらおうと総合博物館の協力で開いています。

  今回は、北大の世界に誇る得意分野の一つ「海藻研究」について、総合博物館で海藻分類学について研究している阿部(あべ)剛史(つよし)講師が「宮部金吾が築いた北大の海藻研究」と題し、北大の発展に尽くした宮部金吾から始まった海藻研究の系譜や、世界の中心を担うまでに発展した北大の現在の研究成果についてスライドや標本を使い話しました=写真左=。

海藻研究の系譜で阿部先生は、1927年北大に理学部設立委員会が設立され、委員だった植物学者で北大植物園の生みの親である宮部金吾が、当時気鋭の研究者で後の日本藻類学会初代会長となる山田幸男をスカウトし、理学部の教授に抜てきしたことや、その後、山田の師匠筋に当たる岡村金太郎、遠藤吉三郎といった先駆者たちが明治期以降に採集した海藻コレクションが北大に集積されていることなどを説明しました。

現在、総合博物館の海藻標本庫には、日本の研究者が発表した日本固有の海藻種のほとんどの「タイプ標本」がそろっており、標本庫コードが示す頭文字「SAP」は札幌が世界に誇る国際的な登録略号となっています。

「タイプ標本」は、その生物が何という種類になるのかを決めるための世界基準になる重要な標本です。研究手法の発達により分類体系が変化していく中で、タイプ標本は研究者の基準となる物差しとして重要であり、現在は、タイプ標本以外の多数の一般標本も活用することにより、DNA型や化学物質の含有量などから過去の環境データを得つつ、現代と比較するなど新しい活用法も研究されています。

タイプ標本は災害から守るため耐火金庫に納められていることや、19世紀に海外で出版された北大所有の「エキシカータ」(その地域のおもな海藻標本一式を本の体裁に綴じたもの)が美術的価値も高く、同じものが高値でオークションに出ていたことなど楽しいエピソードも紹介されました。

1時間あまりの講義を終えた参加者の皆さんは、博物館内を見て回り、海藻標本などの収蔵物を興味深げに見て回りました。