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万葉びとの愛 問答歌で学ぶ~いにしえの日本を探る

問答歌を解説する城崎先生国学院大(東京)、国学院道短大(滝川)の研究者が古典文学や歴史の魅力を語る教養講座「いにしえの日本を探る」の2014年度第1回が9月13日(土)、札幌の北海道新聞社(中央区大通西3)で開かれました。同大の城崎陽子兼任講師が「万葉びとの愛-歌をかわす二人-」という題で講演し、ぶんぶんクラブ会員130人が聞き入りました。講座の最後には、参加者が歌の現代語訳に挑戦しました。

講座では、万葉集のうち、恋人たちが交わした二首一対の「問答歌」を通し、出会いから相思相愛、場合によってはけんか別れまでの「愛の詠(うた)い交わし」(城崎先生)を見ていきました。

「ひとめぼれ」としては、宮中での仕事中にちらっと見かける相手を慕い合う歌や、市(いち)で見初めた相手に「あなたは誰?」と呼びかける歌を紹介しました。

続いて、熱愛中の歌。

鳴る神の しましとよもし さし曇り 雨も降らぬか 君を留(とど)めむ
(雷が鳴って、雨でも降らないかなあ。あなたを帰さないのに)

鳴る神の しましとよもし 降らずとも 我(わ)は留まらむ 妹(いも)し留めば
(雨が降らなくても、帰りませんよ。あなたが引き止めるなら)

城崎先生は「旬の恋人同士の歌。雷様は、あくまで“ダシ”にされているだけです」と解説しました。

一方、マンネリ化して倦怠期になると、皮肉をこめたやり取りになります。恋のおまじないとされた「眉がかゆい」「くしゃみ」「夜着の袖を裏返して寝る」「夢見」などをテーマにした問答歌も紹介しました。

現代語訳に挑戦する参加者最後に、城崎先生が選んだ問答歌4対の現代語訳に取り組みました。お題は次の通りです。

①かくだにも 妹(いも)を待ちなむ さ夜更けて 出て来(こ)し月の 傾(かたぶ)くまでに
 木(こ)の間より 移ろふ月の 影を惜しみ 立ちもとほるに さ夜更けにけり

②思ふ人 来むと知りせば 八重むぐら 覆へる庭に 玉敷かましを
 玉敷ける 家も何せむ 八重むぐら 覆へる小屋(をや)も 妹と居りてば

③人目多み 直(ただ)に逢はずて けだしくも 我(あ)が恋ひ死なば 誰(た)が名ならむも
 相見(あひみ)まく 欲(ほ)しきがためは 君よりも 我(あれ)そまさりて いふかしみする

④白たへの 袖の別れを 難(かた)みして 荒津(あらつ)の浜に 宿りするかも
 草枕 旅行く君を 荒津まで 送りそ来ぬる 飽き足(だ)らねこそ

「文法は気にせず、その場面を想像のままに訳してください」と城崎先生。参加者は閉講後も会場に残り、熱心に訳していました。

応募作は、城崎先生が審査し、秀作は約1カ月後にぶんぶんクラブホームページで発表する予定です。お楽しみに。

(写真上)問答歌に込められた思いを語る城崎先生
(写真下)問答歌の現代語訳に取り組む参加者ら