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再生医療で脳梗塞の後遺症改善期待 札医大すこやか講座

札幌医科大学と道新ぶんぶんクラブ共催の本年度第1回「すこやかライフ」講座「脳梗塞の予防と最新治療~後遺症が残ってもあきらめない、再生医療で要介護ゼロを目指す!~」が9月20日(水)、同大臨床教育研究棟講堂で開かれ、同大医学部附属フロンティア医学研究所神経再生医療学部門の本望修教授が、脳梗塞の仕組みと自己治癒力を最大限活用した世界で最先端を走る札医大の治療の取り組みについて講演しました。

本望教授は、再生医療、脳梗塞、脳卒中、脳神経外科全般が専門で、集まった184人の会員を前に、スライドや動画を投影しながらわかりやすく説明しました。

要介護度5のうち、4割弱が脳卒中といい、「要介護度を1段階でも2段階でも低くしたい」と述べるともに脳卒中は予防でき、血管をぼろぼろに痛めてしまう病気である高血圧と糖尿病、高脂血症を予防、治療することが重要と説明しました。

血管が詰まる脳梗塞について本望教授は、痛みがないので自分で気付きにくい特徴があり、前兆として①体に力が入りにくくなった②ときどきしゃべられなくなった③半身がしびれる―などの症状があったら、自覚症状が回復したとしても一度脳の検査をするように呼びかけました。

一方、治療は首から脳に向かう血管を広げるなど血の流れを良くする予防方法のほか、超急性期治療では、後遺症を軽くするために脳内の血の流れが止まった部位に再び血液を流す「再開通」処置をする方法を説明しました。現在再開通率は80%まで向上しているものの、処置は時間との勝負となるため「救急車を使って患者を至急病院へ搬送するのが重要」と呼びかけました。

それでも腕や手、言語などに後遺症が残った場合、「自己幹細胞移植」という自己治癒力を最大限利用した最先端再生医療を使った治療方法があることを紹介しました。

人間には新陳代謝を進めたり傷を治癒するために活動する「幹細胞」が骨髄にあるものの、数は少なく、一般の細胞千個から1万個に1個混じっている程度といい、発症後数週間たってもリハビリしか治療方法が見つからない患者さんに対して、札医大では、患者さんから採取したわずかな体性幹細胞を40CC中1億個になるまで人工的に増やし、その液体を薬として点滴して患者に戻し治療する再生医療の試験を2007年から行っていることを説明しました。「現在は臨床試験の最終段階で体性幹細胞が『薬』として認可されれば、健康保険の適用対象となる。そうすれば全国で治療ができる」と本望教授は明るい口調で話しました。

実例として体に戻した幹細胞が、神経細胞などの修復に動き出し、腕が動かなくなった40代の男性らが1年かけてリハビリに成功した事例が放映されました。また、体性幹細胞がラットの試験で健康寿命を延ばしたり痴呆症の改善に効果が出ていたりすることなど、研究が進んでいる状況を解説、「治らなかった後遺症を治して、健康寿命を延ばしたい」と力を込めました。