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咲き誇る日本の美 東京富士美術館展特別鑑賞会

7月7日(土)に北海道立近代美術館で始まった東京富士美術館開館35周年秘蔵選 日本の美・百花繚乱(りょうらん)の特別鑑賞会が、同日午前10時30分から開かれました。開催初日でにぎわう中、176人が参加しました。

まずは東京富士美術館学芸員の宮川謙一さんが「江戸絵画の魅力―東京富士美術館所蔵作品をとおして」と題し、今回の秘蔵選の見どころと、東京・八王子にある東京富士美術館の歴史を解説しました。東京富士美術館は1983年に開館し、西洋美術を中心に作品を収蔵。日本美術中心のコレクションだった静岡の富士美術館閉館(2008年)に伴い、東京富士美術館に統合し、東西にまたがる約3万点の作品を収蔵しています。

今回の秘蔵選は、桃山から江戸時代にかけての屏風(びょうぶ)や掛け軸、浮世絵など約180点を前・後期で入れ替えて紹介。文化の担い手が権力者から庶民に移った時代とも言われ、作品は時期に沿って4章に分け展示しています。

序章は桃山時代(16世紀)「暁鐘(ぎょうしょう)の時」。近世絵画のあけぼのとも言えます。絢爛(けんらん)豪華で、戦国大名の城郭建築の影響を受け、大ぶりな絵画が多く見られます。狩野永徳が流れを作った狩野派の「瀧小禽図屏風(たきしょうきんずびょうぶ)」が展示されています。

Ⅰ章は江戸前期(17世紀)「開花の時」。狩野派と琳派が躍動した時代です。政治の拠点が京都から江戸に移り、財力のある有力者も江戸へと移っていったことに伴い、芸術の拠点も江戸に移っていきました。前期には狩野尚信「猛虎図」、後期には狩野派「洛中洛外図屏風」が展示されます。

Ⅱ章は江戸中期(18世紀)「革新の時」。文人画や奇想派が台頭してきました。鎖国により、他国からの刺激に敏感な時期で、個性的な絵師が生まれました。宋紫石「波に鶴図」(前期展示)は収蔵して初めての展示。同じく前期展示の曾我蕭白(そが・しょうはく)「観瀑図」は、近・中・遠景の描き分けが見事です。後期展示の伊藤若冲(じゃくちゅう)「象図」は、象をユーモラスに描いた迫力ある大作です。

Ⅲ章は江戸後期(19世紀)「爛熟(らんじゅく)の時」。今回の目玉の一つ、鈴木其一(きいつ)「風神雷神図襖(ふすま)」(前期展示)は琳派を代表する絵師です。のびのびと描かれ、陰影を使った立体的でリアルな作品です。「青緑山水図」(後期展示)を描いた谷文晁(ぶんちょう)は、バリエーションのある描き方をし器用な人だったそうです。

参加者は講演の後、自由に作品を鑑賞しました。

(写真上)「風神雷神図襖」の紹介をする宮川学芸員
(写真下)会場外のロビーにはこんな撮影スポットも