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東アフリカのモバイル革命学ぶ 樽商大と共催「第1回ビジネス講座」

小樽商科大学と道新ぶんぶんクラブ共催の2018年第1回「時代が読める経済・ビジネス講座『モバイル革命と東アフリカ農村の変貌』」が9月1日(土)樽商大札幌サテライト教室で開かれ、会員53人が東アフリカの今の姿を学びました。

講師は、経済学科で発展途上国の経済を研究する松本朋哉教授(開発経済学)。松本教授はケニアやウガンダ、エチオピアを中心とした東アフリカ地域の農村に何度も足を運び、現地調査を続けながらデータ収集と解析を進めています。

講座では、世界でも貧しい国々が集中する東アフリカの人々の生活の様子を写した写真を見せながら、今の姿を解説。地域が赤道付近にあるものの、標高が高いため気候が北海道に似て過ごしやすい一方、電気も有線の電話も通っていない農村が多くあり、道路や公共サービスなどのインフラ整備が遅れている様子を説明しました。このような不便を補うため、現地の人たちは、地縁・血縁といった強いつながりである「相互扶助の精神」の下で暮らしていることを紹介しました。

一方、この地域では、ここ10年間で大きなモバイル革命が起き、携帯電話が急速に普及、社会の仕組みが大きく変容しました。携帯電話はケニアでほとんどの国民に普及し、次いでウガンダ・エチオピアの順に普及率が非常に高く、住民の情報収集を容易にしました。

取引費用が軽減し、市場の拡大や統合が進むことにつながり、モノの価格変動が低く抑えられたことで、人々がビジネスチャンスをつかみやすくなりました。携帯電話の普及率が上がるとともに各国のGDP(国内総生産)も比例して伸びています。

さらに、携帯電話をプラットフォームとしたさまざまなサービスが現れました。特に金融決済に使うモバイル・マネー(MM)・サービスは目覚しい広がりを見せ、ケニアでは国民の半数以上の人たちが利用しています。これまで銀行などの金融サービスにアクセスできない金融排除の状態にあった多くの人たちが、プリペイド型のMMを利用することで金融サービスが容易に瞬時に安全に行えるようになりました。松本教授も現地調査の際はMMを利用し、「市場の露天商や食堂、調査対象への謝礼、調査員の賃金などあらゆる場面で使っています」と話しました。

携帯電話の普及で、調査作業の農村へのアポ取りが可能となり、タブレットを使った聞き取り作業の能率化、謝礼のMM決済などが容易にできるように様変わりしています。この地域の農村に多い出稼ぎ者による送金や都市部の学校や病院に通う人たちへの仕送りなどにも、このサービスが使われるようになってきました。また、これまでにない動きとして農家を対象とした天候インデックス型の保険や緊急援助金の分配なども試みられています。

固定電話もなく、電線も通っていない地域ですが、電源はソーラーパネルから取ったり、街に行く人やバスの運転手に携帯電話を預けて充電してもらったりするなど、最先端の技術と古くからの相互扶助社会がうまく融合しながら、大きな変革の渦中で変貌を遂げようとしています。東アフリカの姿が手に取るように分かり、終了後も質問が尽きませんでした。