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農業の6次産業化学ぶ 第3回小樽商大講座

 小樽商科大学と共催の第3回「時代が読める経済・ビジネス講座」が11月9日、札幌市中央区北5西5の同大札幌サテライトで開かれ、40人の会員が受講しました。今回は、同大グローカル戦略推進センターの後藤英之准教授が、「経営戦略でみる農業の6次産業化」をテーマに講演しました。

 農家が生産から加工・販売までを手がける6次産業化は、国の政策的な後押しもあり、全国的に広がりを見せています。具体的には、農園の中にショップを設けて農作物を加工・販売したり、道の駅で売ったりすることです。NHKの朝の連続テレビ小説「なつぞら」の舞台になった十勝の酪農家は、自分で生産した牛乳でバターを作りましたが、まさにこれが農家の6次産業化です。その背景には、人口減による国内マーケットの減少があります。農業出荷額と農業所得が低下し、担い手不足も深刻になっています。農家が生き残るには、規模を拡大するか、付加価値を上げるかのどちらかですが、6次産業化は後者になります。農家が、加工・物流・販売を担うことによって、それぞれが得ていた利益を得ることができるのです。

 次に後藤准教授は、6次産業化へ向けた道内農家の成功事例として、後志管内ニセコ町の高橋牧場(ミルク工房)を紹介しました。高橋牧場は生乳の生産・加工・販売までを一貫して行い、ファーマーズレストランやチーズ工場などを経営しています。飲むヨーグルトやソフトクリーム、ロールケーキなどを販売し、年間約30万人が訪れる観光牧場です。6次産業化のきっかけとなったのは、乳価は一定で生産調整があり、高い品質の牛乳を多く生産しても、思うように経営がよくならなかったことです。ニセコを訪れる観光客は増える一方、観光客のニーズに応える特産品が十分にありませんでした。そこで、最初はアイスクリームや飲むヨーグルトをメインに製造・販売をスタート。しかしどうしても販売は夏場だけに偏ってしまいます。そこで、従業員の通年雇用を実現するため、焼き菓子に着目しました。さらに、当時地元で収穫された作物を使った料理を食べられるレストランが周辺になかったので、どの席からも羊蹄山を見られるガラス張りのレストランを造ったのです。

 最後に、後藤准教授は、成功している6次産業化の農家の共通点として、「どうしても加工・販売の方に力を入れがちだが、安心・安全のために牛の飼料を自分で作るなど、根底にある1次産業を疎かにしないこと」と、話しました。また、北海道経済の活性化の方向として、「交流人口(観光客)の受け入れ拡大と、アグリビジネス(農業に関連する幅広い経済活動)をいかに結びつけるかだ」と、指摘しました。