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中谷博士作製の「雪の化石」に驚き エルムの杜の宝もの~中谷宇吉郎と雪の研究

2019年1回目の北大総合博物館と道新ぶんぶんクラブ共催による「エルムの杜(もり)の宝もの~中谷宇吉郎と雪の研究」が、5月25日(土)北大総合博物館「知の交流ホール」で開かれ、ぶんぶんクラブ会員30人が、世界で初めて人工雪を作った物理学者の中谷宇吉郎博士(1900~62年)の業績を学びました。

講師は『ミネルヴァ日本評伝選 中谷宇吉郎 人の役に立つ研究をせよ』(ミネルヴァ書房)の著者で総合博物館資料部研究員の杉山滋郎(しげお)北大名誉教授(科学史)。杉山先生は、中谷博士が北大でどのように雪の研究をしてきたかや低温科学分野の優れた業績、エピソードをスライドを使い話しました。

▲「雪の化石」ができるまでの工程を説明する杉山北大名誉教授

講演では、北海道帝国大学理学部に着任した中谷博士が十勝岳をフィールドに、降ってくる雪や霜の研究を始めたこと、1936年(昭和11年)1月、大学に常時低温実験室が完成し、中谷博士がガラス製の円筒を使った実験装置を実験室に持ち込んで、ウサギの毛で人工雪の作製に世界で初めて成功したことや実験装置を使って人工的にできる雪の結晶の形と温度、水温の関係を示した「中谷ダイヤグラム」を発表したことなどが紹介されました。

さらに、雲の中における着氷現象と気象条件研究のため、ニセコアンヌプリ山頂に着氷観測所を建設、吸い込み式風洞を造り着氷の様子を観察するとともに、実際の飛行機を設置して研究を続けたことに触れました。また、杉山先生は雪の結晶レプリカ(雪の化石)の製法を紹介。「雪の結晶の形はみんな違います。降ってきた雪の中にどういう形の結晶がどのくらい含まれているか、そのバラツキの様子を調べるうえで、レプリカは重要で、たくさんの雪の結晶を同時に観察することができました」と説明しました。

▲中谷宇吉郎研究室(N123号室)の復元展示室を見学する参加者

座学に続いて参加者は2班に分かれて総合博物館内を見て回りました。「人工雪成長装置」の説明を受けた後、杉山先生の案内で中谷博士が雪の研究を行っていた中谷宇吉郎研究室(N123号室)の復元展示室を見学しました。研究に使ったスキー(芳賀スキー製)や顕微鏡といった実験器具、中谷が着ていたコートやベレー帽などが紹介され、参加者は熱心に見入っていました。


最後に、札幌の女性から北大に寄贈された中谷博士の作った「雪の化石」12個と中谷博士が書いた色紙2枚、書1点が展示され「化石はこんなに小さいのね」「虫眼鏡がいるね」などと参加者は一様に驚いていました。

▲中谷博士の作製した「雪の化石」と直筆の色紙2枚、書1点。札幌の女性から北大に寄贈された

▲北大に寄贈された中谷博士が作製した「雪の化石」



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「エルムの杜の宝もの」は、北大が開学以来長年の研究で集積した数多くの貴重な資料である「北海道の知の宝」を、ぶんぶんクラブ会員の皆さんに知ってもらおうと北大総合博物館の協力で開いています。